このブログを書いているのは9月1日。新学期の始まりですね。私も夏休みの宿題として『100分de名著 般若心経』『100分de名著 真理のことば ブッダ』(いずれも佐々木閑著)を読みましたので、その感想を少し。
読むきっかけになったのは、薬師寺で蓮を見に行った際に般若心経を耳にしたこと。子どものころ、地域で近所のお大師様を交代でお手入れする風習があり、そのとき般若心経が唱えられていました。「そもそも般若心経って何なんだろう?」──その素朴な疑問が出発点でした。

まず『100分de名著 般若心経』。買おうと思ってケータイを見たら、数年前にすでにKindleで購入済み。読まずに数年眠らせていたようです……。
本書では、般若心経の世界観とブッダの仏教が対比されて語られていました。般若心経は大乗仏教の代表的なお経のひとつで、日本では最もポピュラーなもの。唱えれば、ご利益がある。神秘的な面を持ちます。人事を尽くした時、神や仏に祈りたくなるのは私も良くわかります。一方で、ブッダの仏教は神秘的な力を一切認めず、自分の心の鍛錬によって悟りを開くことを目的とする旨の解説。
『反応しない練習』(草薙龍瞬著)などで、ブッダの教えが合理的な思考法として有用だということは知っていましたが、“神秘の力を一切認めない”という記述には驚き、『100分de名著 真理のことば ブッダ』へと読み進めました。

こちらでは、ブッダの言葉を集めた『ダンマパダ』を中心に、ブッダの生い立ちや世界の認知の仕方が丁寧に展開されていきます。
”この世は原因と結果の因果則によって粛々と動いているだけであって、不思議な力を持った救済者などどこにもいない”、”この世の苦しみを消すには、自分の心の在り方、ものの見方を変えるしかない”
こうしたブッダの主張は、長年科学を生業としてきた私にもすっと馴染むものでした。巻末には著者と脳科学者の対談もあり、ブッダの仏教と科学の接点にまで話が広がっていて興味深く読ませていただきました。

さて、冒頭の“他人の間違いに目を向けるな……”は『ダンマパダ』の一節です。
“他人の間違いに目を向けるな。他人がしたこと、しなかったことに目を向けるな。ただ、自分がやったこと、やらなかったことだけを見つめよ。”
課題(悩み)があるなら自分を変えよう(他人は変えられない。変えようとすると課題解決どころかむしろ課題が増える)──そう解釈することもできるな―。と思うと同時に、「これ、嫌われる勇気(岸見一郎、古賀史健著)、で読んだ考え方、アドラー心理学の課題の分離じゃん!」と驚きました。2500年前にブッダはすでにこの思考に到達していたのですね。そのすごさに感服するとともに、人間の“ハード”は2500年経ってもあまり進歩しないのだな、としみじみ思いました。
こうした芯を突くブッダの言葉が集められた『ダンマパダ』。原典の訳書にもあたってみましたが、読むには根気が必要そうでした。興味のある方は、まず『100分de名著 真理のことば ブッダ』から入るのが良さそうです。
良い作品をありがとうございました。
””内は、100分de名著 真理のことば ブッダ 佐々木閑著 からの引用。

